13 -
DDS診断テスターについては、セクション6-13、DDS 診断テスターを参照してください。
マルチメーターによるエレクトリカルシステムの点検
概説
このテスターを使用すると、電気抵抗、電圧、および電流を測定できます。 マルチメーターは、大きく 2 つに分類されます。 アナログ表示のものとデジタル表示のものです。 アナログ表示のマルチメーターでは、指針の付いた表示盤が使用されます。 表示盤には、数種類の測定に対応する目盛りが付いています。 デジタル表示のマルチメーターでは、測定量を表す数値がディスプレイに表示されます。 セレクターを使用するか、プローブを挿入する穴を変えることで、測定の種類 (電圧、電流、または電気抵抗) を設定できます。 場合によっては、測定レンジを設定する必要があります。 たとえば、12 V の電圧を測定する必要がある場合は、その値に近いところで測定レンジを選択します (たとえば、15 V または 20 V)。 測定レンジを10Vに設定にする事は倫理上正しくはありません。同じ事が電流(アンペア)や電気抵抗(オーム)についても言えます。 テスターが自動的に測定レンジを設定できる場合もあります。 電圧や電流を測定する場合は、テスターの許容値を決して超えないように注意してください。
参考
DDS診断テスター(セクション6-13、DDS 診断テスター)はデジタルマルチメーターと同じ機能で使用する事も可能です。
電圧の測定
電圧の測定は、電圧が加えられている部品に対して、マルチメーターのプローブを並列に接続して行います (たとえば、ランプ電球の 2 線、リレーの 2 線、バッテリーの 2 極、コントロールユニットに電源を供給する 2 線など)。 電圧には、時間軸で一定である直流電圧と、時間とともに変化する交流電圧とがあります。 直流電圧には正負があります。 したがって、マルチメーターでは、測定する電圧の種類も選択する必要があります (直流電圧は記号 = で表され、交流電圧は記号 ~ で表されます)。
電流の測定
電流の測定は、電流が加えられる部品に対して、マルチメーターのプローブを直列に接続して行います (たとえば、ランプ電球の片方のケーブルを外し、その線の先端にマルチメーターの一方のプローブを接続し、もう一方のプローブをランプ電球に接続します。 ランプスイッチをオンにすると、ランプ電球が通常どおり点灯し、ケーブルを通して流れ込む電流の値がマルチメーターに表示されます)。 警告: マルチメーターを直列に接続したり外したりするときは、必ず電圧が加えられていない状態で行ってください。 電気部品に電圧が加えられている状態では、決してマルチメーターを直列に接続したり外したりしないでください。 電気部品に対してマルチメーターのプローブを直列に接続する場合は、偶然に外れることがないよう、しっかりと接続してください。
電気抵抗および連続性の測定
電気部品またはエレクトリカルシステムの一部について電気抵抗を測定するときは、必ず電圧が加えられていない状態で、エレクトリカルシステムとの接続を外して行ってください。 これらの測定によって、センサーの電気抵抗を確認できます。 たとえば、インジェクション-イグニッションシステムの回転数/タイミングセンサー (タイミングシャフトギアに面しています) の電気接続を外してから、マルチメーターをそのターミナルに接続して、内部抵抗を測定できます。 この測定により、センサー内のコイルが断線しているかどうかを確認できます (断線している場合、電気抵抗は無限大になります)。 電気抵抗を測定することで、エレクトリカルシステムの配線、スイッチ、およびリレーの連続性を点検することもできます。 たとえば、エレクトリカルシステムの配線が断線していないことを確認するには、そのケーブルの両端をエレクトリカルシステムから外し、マルチメーターのプローブにそれぞれ接続して、電気抵抗を測定します。 この値がほぼゼロに等しければ (約 0.3 オーム以下)、断線していません。 電気抵抗がゼロに近づくとビープ音で知らせるマルチメーターもあります。 同じ手順で、リレーまたは手動のスイッチについて、2 つの接点が正しく閉じるかどうかを確認できます。 マルチメーターのプローブをスイッチのターミナルに接続し、スイッチを閉じたときに電気抵抗がほぼゼロになること (またはビープ音が鳴ること) を確認します。 "連続性テスト" モードでマルチメーターが正しく機能することを確認するには、プローブどうしをショートさせます。 表示される電気抵抗値は実質的にゼロとなり、ビープ音が聞こえなければなりません。
保護および注意事項
マルチメーターには、保護ヒューズとバッテリーが内蔵されています。 マルチメーターが正しく機能するためには、これらの部品が常に完全な状態でなければなりません。 電気測定を行う際は、ショートを起こさないよう常に最大限の注意を払う必要があります。ショートを起こすと、エレクトリカルシステムに回復不能な損傷を与え、事故の原因にもなります。 メンテナンス作業は、必ず電圧が加えられていない状態で行います (作業を始める前にバッテリーの接続を外します)。 電流を測定する場合はマルチメーターを必ず直列に接続し、電圧を測定する場合は必ず並列に接続してください。
診断用テスターの概要
"DDS" 診断システムでは、シリアル接続を通してイグニッション-インジェクションシステムを診断することができます。 システムにはまた、 車両に搭載されているさまざまな装置をテストする機能があります。 どの電気装置についても電流と電圧が測定できます。 また、個々の部品に関してテストを行い、圧力と温度を測定できます。
DDS診断テスター(1)ツール番号:97900.0215は小型ディスプレイ (A)、 BBAD自己診断モジュール(B)、ディスプレイメモリーカード(C)で構成されています。
タッチスクリーンシステム搭載の小型ディスプレイ (A) はデータを表示し、そしてディスプレイ側面に収納されているペンを使って値を設定できます。
自己診断モジュール (B) により DDS テスター(1) とエンジンコントロールユニットとの間で通信が可能になります。
ユーザーインターフェースのソフトウェアは、小型ディスプレイ (A) にあるディスプレイメモリーカード (C) にあります。
コントロールユニットには 2 つのコネクターボードがあり、 1 つのテスターの上部、もう 1 つは下部にあります。
上部のコネクターボードには以下の機能を持った次の 6 つのコネクターが付いています:
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下部のコネクターボードには以下の機能を持った次の 3 つのコネクターが付いています:
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DDS テスター (1) にプリンターを接続して、実施したテストのレポートを作成することもできます。 プリンターはテスター (1) の上部にあるシリアル通信ポート (COM1) (G) に接続して使用します。
テクニカル仕様
電源:
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診断用テスターDDS の付属品
DDS テスター (1) には以下の付属品が納められている DDS キットが供給されます:
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テスターの電源
DDSテスター(1)ツール番号:97900.0215の電源は車両から以下のうちのどちらかの方法で供給することができます:
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テスター自体のバッテリーから: バッテリー (Q) はテスターの上部にあります。 テスター (1) のバッテリーへの接続およびバッテリーの充電に関しては、DDS テスター の "ユーザーマニュアル" を参照してください。
ディスプレイを点灯するには、ボタン (T) を押します。
車両への接続
診断用テスターの電源には、直流電圧916Vが必要です。
作業中は、最低電圧より低くならないように注意してください。 バッテリーの性能が完全でない車両では、エンジンの始動時やアイドリング回転中に電圧が低くなる場合があります。 このテスターでは、電圧が9Vより下がると、実行中の操作がゼロにリセットされます。電圧が規定の値に戻ってから、再び操作の設定を行う必要があります。
DDS テスター (1) の電源は車両から以下のうちのどちらかの方法で供給されます:
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テスターの電源コネクター(N)にバッテリーからの電源(3)ツール番号:97900.0230を接続し、それを車両のバッテリーに接続
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テスターの診断コネクター(P)に電源および診断ケーブル(4)ツール番号:97900.0227Sを接続 その後、電源および診断ケーブルのコネクターに車両のDDAプラグ(S)を接続します。
参考
各種装置の接続および診断の手順については、診断テスターに付属している使用説明書を参照してください。
 
DDS 診断テスター
"DDS" の機能の概要は次のとおりです。
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アクティブ診断 インジェクション-イグニッションシステムのトランスデューサーを作動させ、それらが正しく機能することと、制御信号が正しいことを確認します (燃料ポンプ、イグニッションコイル、タコメーター、インジェクターなど)。 この機能で、イモビライザーの解除に必要なセキュリティコードの入力も行うことができます。
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タイミングベルトのテンションの点検と調整
参考
作業中に使用されているアイコンのシンボルは、このセクションの最後の一覧表に掲載されています。
参考
DDS を使用すると、エンジンをフレームに搭載したまま両方のベルトについて作業できる利点があります。 DDSにはオプティカルリーダー(5)ツール番号88765.1371を接続します。 このセンサーには緑色のインジケーターランプがあり、これを利用してベルトの前に正しく配置できます。 また、エミッター (A) と赤外線レシーバー (B) を備え、指で押したときのベルトの振動を測定できます。
ラムダセンサー(6)をゆるめ、クランプ(7)をゆるめ、ナット(8)をゆるめて、エキゾーストパイプ(9)を取り外します。
スパークプラグキャップ(10)を抜き取ります。
スクリュー(11)緩め、ガード(12)を取り外します。
スパークプラグを取り外します。
ホリゾンタルシリンダーのピストンが燃焼時に上死点にくるように、ツール一式を使用してクランクシャフトの位置を調整します。
そのためには、タイミングベルトローラー(13)のタイミングマーク(C)を、クラッチカバー(T)の印(D)に合わせます。
"タイミングベルトテンションの測定"の記述に従い、アーム(14)上のホリゾンタルベルトの測定を行います。
 
クランクシャフトをエンジンの回転方向へ270°回し(バーチカルシリンダーの燃焼死点)、ホリゾンタルシリンダーと同じ手順を繰り返して、バーチカルベルトのアーム(15)でテンションを測定します。
ベルトテンションセンサーおよび車両の診断テスター DDS を取り外します。
取り付け作業は、取り外し作業と逆の手順で行います。
タイミングベルトテンションの測定
"テスターの電源"を参照しながら、DDS(16)ツール番号:97900.0215をONにします。
電源および診断ケーブル(測定モジュール)(17)ツール番号:97900.0222をDDSテスター(16)の測定モジュールコネクター(F)に接続します。
ベルトテンショナーセンサー(1)ツール番号:88765.1371を電源および診断ケーブル(測定モジュール)(17)ツール番号:97900.0222のプラグ(V)に接続します。
 
ベルトカバーの固定スクリュー(18)を使って、ベルトテンショナーセンサー(1)のサポートブラケットを固定します。
センサー(1)中央の緑色のLEDランプを、点検するベルトのアーム中央部分に向け、センサー(1)をベルトに対して軸とし、約11.5cmの距離に配置します。
DDS テスター (16) で"測定モジュール" のアイコンを押して 測定モジュール 機能を選択します。 その後 "ベルトテンション" のアイコンを押して、続いて "スタート" のアイコンを押して "ベルトテンションメニュー" に入ります。
メニューにはケーブル (測定モジュール) (17) の A、B または C のどのコネクターを使用するかが 大文字で表示されます。
ベルトを指で軽く押し、DDS 上の周波数値 (Hz) を読み取ります。
参考
DDS での読み取りには1秒間必要ですのでベルトに何度も続けて圧力を加えないでください。
 
テンションの規定値は、セクション3-1.1、タイミングシステム/バルブに記載されており、エンジン冷間時に点検しなければなりません。 組立て値は新しいベルトを取り付ける場合に適用し、修復後はベルトのテンションが 70 Hz に達したときに適用します。
警告
通常の調整作業を行うと、タイミングベルトのテンションは減少するはずです。 ベルトテンションの点検時、70Hz 以下の数値が検出された場合は、公称値のテンションが得られるように、再調整を行います(セクション3-1.1、タイミングシステム/バルブ)。
 
テンション値が正しくない場合は、可動テンショナーのスクリュー(19)を使用して、ベルトを張ったり緩めたりします。
手で可動テンショナー(20)を持ち上げるとベルトが張り、可動テンショナー(20)を下げるとベルトが緩みます。
タイミングベルトのテンションの値をもう一度測定します。
規定のテンション値が得られるまでこの操作を繰り返してください。
好みのテンションに達したら、スクリュー(19)を26 Nmのトルク(最小23 Nm - 最大29 Nm)で締め付けます(セクション
3 - 3、エンジン締め付けトルク)。
スロットルポジションセンサー(TPS)の自動調整
線形特性のスロットルポジションセンサーは、スロットルボディに取り付けられており、調整できないようになっています。 そのため、スロットルポジションセンサーのゼロ位置に対応する角度をエンジンコントロールユニットに教える必要があります。次の手順で作業を行ってください。
警告
この作業は、スロットルボディ、スロットルポジシンセンサー、またはエンジンコントロールユニットを交換した後、初めて車両を始動させる前に行う必要があります。
 
スロットルバルブがストッパースクリューに当たっていることを確認します (スロットルコントロールが完全に閉鎖)。
この位置でスロットルポジションセンサーの角度をエンジンコントロールユニットに学習させます。 この作業を行うには診断テスター DDS を使用します。次の手順に従ってください。
"テスターの電源"を参照しながら、DDS(1)ツール番号:97900.0215をONにします。
DDS テスターの診断コネクター(A)に電源および診断ケーブル(2)ツール番号:97900.0227Sを接続し、このケーブルをシート下部にある車両の診断コネクター(B)に接続します。
"Menu 1 ボタン" (A) を押して通常機能のメニューに入ります。
"車両の選択" のアイコンを押し、次の画面で "車両の選択" のアイコンを押します。 モデルを選択して確認し、次にバージョンを選択して確認します。
"システムの選択" のアイコンを押すと、確認する車両のシステムが画面に表示されます。
オプションで "エンジンエレクトロニクス" を選択し、"決定" (B) のアイコンを押して確認します。 次に"自己診断" のアイコンを押して自己診断機能に入ります。
DDS テスターがエンジンコントロールユニットの検査を行い、検査中の各構成部品とそのデータ値を表示します。
参考
車両の操作ディスプレイ上でキーを OFF の位置にし、接続の準備をします。
 
"設定" のアイコンを押し、専用パラメータを表示します。
"スロットルポジションセンサー(TPS)の自動調整"オプションを選択し、"設定の実行"アイコンを押します。
操作が実行されると"操作は正しく実行されましたか?" というメッセージが表示されるので、 "確認" (B) のアイコンを押して確認します。
操作が正しく実行されずに問題が発生すると、その内容のエラーメッセージが表示されます。 (B) のアイコンを押して確認するか、または “取り消し” (C) のアイコンを押します。
ゼロクリアを行った後は、エンジンコントロールユニットは車両のスロットルボディに対応します。 スロットルボディ、 スロットルポジションセンサー、またはエンジンコントロールユニットを交換したときは、ゼロ設定をやり直す必要があります。
アイドリングの調整
参考
車両にエンジンコントロールユニット、オリジナルのインテークおよびエキゾーストシステムが搭載されていることを確認してください。 これらが搭載されていない場合は、オリジナルの部品を取り付ける必要があります。
 
コネクター(1)を使用して、排気ガス分析器(部品番号:88713.1010)をエキゾーストパイププラグに接続します。
DDSテスターを接続し、車両MONSTER 796/ MONSTER 796 ABSを選択します。
スロットルコントロールが完全に閉じている状態で、スロットルボディのプーリーがストップスクリューに当たっていることを確認します。
スロットルケーブルに適切な遊びがあることを確認してください。
以下を確認します:
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エンジンを始動させ、エンジン温度が100 ℃に達するまで待ち、温度が100 ℃に達したら、以下の調整作業を開始します。
 
最小値は1250~1350 rpm(1300±50)でなければなりません:
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このアイドリング調整作業で正しい結果が得られない場合は、次の作業を行います:
 
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警告
CO値の調整前にエンジンを停止した場合、ラムダセンサーが機能し、濃縮を完了するまで、エンジンを再始動してから3分間待ちます。
 
最小値が高く、バイパススクリューで上手く調整できなかった場合、スロットル下部の状態を点検し、特に、インテークマニホールドにひび割れや切れ目がないか、エンジンにしっかり締め付けられているか、プレッシャーセンサーのホース部に亀裂がないかなどを点検します。
 
警告
スロットルバルブ下の減圧を均等にすることより、アイドリングの調整を優先します。 つまり、アイドリングを正しく調整するためであれば、ホリゾンタルシリンダーとバーチカルシリンダーで減圧に差があっても許容されます。
 
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スロットルバルブ下の減圧の均等化
測定モジュールケーブル(4)ツール番号: 97900.0222を"診断用テスターの概要"の記載に従いDDSの測定モジュールコネクターに接続します。
ケーブル(4)のコネクター(A)(C)をプレッシャー/デプレッシャーホース(5)部品番号:97900.0220とそのコネクター(6)部品番号:97900.0221に接続します。
"テスターの電源"を参照してDDSテスターの電源を入れます。 "測定モジュール" の 機能に入ります。 "シリンダーのシンクロ" のアイコンを押します。
メニューにはケーブル (測定モジュール) (4) の A、B または C のどのコネクターを使用するかが 大文字で表示されます。
インテークマニホールド上のスクリュー(7)を外し、外したところにコネクター(1)部費番号:88713.1010 を取り付けます。
両方のバイパススクリュー(2)(3)を、完全に閉じた状態から1回転回します。
警告
"リセット"(G)アイコンを押し、センサー(8)部品番号:97900.0218および(9)部品番号: 553.1.039.1Aをケーブル(3)のコネクター(A)(C)およびプレッシャー/デプレッシャーホース(6)に接続します。
 
"スタート" のアイコンを押してシリンダー内の圧力測定作業を開始します。
画面にはインジケーターランプ (E) が表示され、機能がオンになっているときに赤くなります。
エンジンを始動させます。
値の表示方法には数字およびグラフィックの 2 種類があり、 タイプを選択するには、"値の表示" (F) のアイコンを押します。
"リセット"(G)のアイコンを押すと値をゼロにリセットすることができます。
バランス(許容公差:260~270)を調整するには、バイパススクリュー(2)(3)を回して、グラフィック表示を選択した場合はグラフィックラインのアライメントが得られるよう調整し、数字表示を選択した場合は数値が同じになるよう調整します。
均等化が得られると、2 本のグラフィックラインがとても狭い状態でクロスするか、または 2 つの値が同じになります。
エンジンオイルプレッシャーの点検
参考
作業中に使用されているアイコンのシンボルは、このセクションの最後の一覧表に掲載されています。
 
潤滑システムの圧力を測定するには、エンジンオイルプレッシャーセンサー (21) の接続プラグを次の手順で利用します。
プレッシャースイッチ (1) のコネクター (A) を外し、シールに注意してプレッシャースイッチを取り外します。
ホース(2)部品番号:875.1.065.1Aのフィラーにコネクター(3)部品番号:814.1.114.1A を挿入し、2 個の銅製ガスケット(4)を挟み込みます。 右側カバーのM10x1mmのスレッド穴に、ホース(2)のコネクター(3)を取り付け、しっかり締め込みます。 コネクター(3)にプレッシャースイッチ(1)をガスケットとともに取り付け、エレクトリカルシステムのコネクター(A)に接続します。
プレッシャーセンサー(5)部品番号:552.1.039.1Aをホース(2)に接続し、圧力信号を電気信号に変換させます。
"テスターの電源"を参照しながら、DDSテスター(6)部品番号:97900.0215をONにします。
電源および診断ケーブル(測定モジュール)(7)ツール番号:97900.0222をDDSテスター(6)の測定モジュールコネクター(B)に接続します。
プレッシャーセンサー(5)をケーブル(7)のプラグ(A)に接続します。
DDS テスター (6) で"測定モジュール" のアイコンを押して 測定モジュール 機能を選択します。 その後 "圧力 測定" (D) のアイコンを押して、続いて "スタート" (E) のアイコンを押します。
メニューにはケーブル (測定モジュール) (7) が A の文字で表示されます。
エンジンを始動させます。
値の表示方法には合計 3 タイプ (1 つの数字タイプ、および 2 つのグラフィックタイプ) があります。 タイプを選択するには、"数値の表示"アイコンを押します。
測定値は (A) または (C) の文字で表示され、測定に使用されたケーブルと同一になります。 つまり、ケーブル (7) のコネクター (A) を使用した場合、測定値は画面の文字 (A) の値になります。
オイルプレッシャーの点検値:
 
エンジン暖機時
(オイル温度 =80℃ 以上)
11001300rpm
0.8bar 以上
35004000rpm
4bar 以上
重要
決して、最大圧力は6.0bar を超えてはなりません。
 
圧力が高すぎる場合は、圧力解放バルブのひっかかりが原因と考えられます。 反対に、圧力が低すぎる原因としては、圧力解放バルブが開いたままになっている、スプリングが弱すぎる、ポンプに支障があるなどが考えられます。 その他、ガスケットの過度な摩耗、またはエンジン自体の摩耗も考えられます。
ツールを取り外し、プレッシャースイッチ(1)をガスケットとともに再び取り付けます。 19 Nmのトルク(最小17 Nm - 最大21 Nm)で固定します(セクション3- 3、エンジン締め付けトルク)。
エレクトリカルシステムのコネクター(A)をプレッシャースイッチに接続します。
DDS 診断テスターを取り外します。
エンジンシリンダーのコンプレッションの点検
参考
作業中に使用されているアイコンのシンボルは、このセクションの最後の一覧表に掲載されています。
 
エンジンの性能は 2 つのシリンダー内の燃焼室で測定できる圧力の値と直接関連しています。 過度な圧力、不十分な圧力、またはシリンダー間の過度な差異は、エンジン性能を低下させるだけでなく、故障の原因となります。
エンジンを少なくとも1回電動ファンが始動するまで暖機します。
両方のスパークプラグのプラグ- コイルのケーブル (1) を取り外します。
点検するシリンダーのスパークプラグを取り外します。
スパークプラグのケーブルを火花が発生しないように取り付けます。
スパークプラグのベースにシリンダーコンプレッションケーブル(2)部品番号:552.1.038.1Aを締め付けます。
プレッシャーセンサー(3)部品番号:552.1.039.1A をケーブル(2)に接続します。
"車両への接続"を参照し、DDSテスター(4)の電源を入れます。
電源および診断ケーブル(測定モジュール)(5)部品番号:97900.0222をDDSテスター(4)の測定モジュールコネクター(B)に接続します。
プレッシャーセンサー(部品番号:552.1.039.1A )をケーブル(5)のプラグ(A)部品番号:97900.0222に接続します。
参考
一度に 1 つのシリンダーのみを作動させて値を測定します。
DDS テスター (4) で"測定モジュール" のアイコンを押して 測定モジュール 機能を選択します。 その後 "シリンダーコンプレッション" (D) のアイコンを押して、続いて"スタート" (E) のアイコンを押します。
メニューにはケーブル (測定モジュール) (3) が A の文字で表示されます。
スロットルバルブを完全に開きます。
圧力が上昇しなくなるまで、スターターモーターでエンジンを回します。
各シリンダーについて圧力を点検します:
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標準値: 1112bar
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圧力が高すぎる場合は、次のような原因が考えられます:
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圧力が低すぎる場合は、次のような原因が考えられます:
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スパークプラグおよびスパークプラグ- コイルのケーブル (1) を所定の位置に取り付けます。
燃料圧の点検
参考
作業中に使用されているアイコンのシンボルは、このセクションの最後の一覧表に掲載されています。
 
バルブクリアランスの点検を行うには、ヘッドの 4 つのバルブカバーの作業を行う必要があり、そのため以下に示されたパーツを取り外してください。
ロックを開きくと同時に、ペグを外しやすくするためにシートのラッチ近くを下方に押し下げます。 シートを前部ストッパーから後方に引きながら抜き取ります。
タンクカバーを取り外します(セクション5-2、タンクフェアリングの取り外し)。
フレームにサイドタンクをフレームに固定しているスクリュー(1)を緩め、ワッシャー(2)を回収します。
リアタンクを固定しているスクリュー(3)を緩め、ワッシャー(4)を回収します。
フューエルシステムおよび配線を接続したまま、タンクを持ち上げ、フューエルシステムフランジで作業ができるよう、必要に応じてタンクを保持します。
デリバリーホース (5) を取り外します。
フューエルプレッシャーホース(6)部品番号:590.1.189.1A の先端(D)を燃料タンクのデリバリーホースコネクターに接続し、もう片方の先端(E)をデリバリーホース(5)に接続します: こうすることでプレッシャープラグ(F)が得られます。
プレッシャーセンサー(7)部品番号:552.1.039.1Aをホース(6)のプラグ(F)に接続し、圧力信号を電気信号に変換させます。
"テスターの電源"を参照してDDS(8)テスターの電源を入れます。
電源および診断ケーブル(測定モジュール)(9)部品番号:97900.0222をDDSテスター(8)の測定モジュールコネクター(E)に接続します。
プレッシャーセンサー(7)をケーブル(9)のコネクター(A)または(C)に接続します。
DDSテスターの"測定モジュール"のアイコンを押して"測定モジュール"機能を選択します。 その後 "圧力測定" (F) のアイコンを押して、続いて "スタート" (G) のアイコンを押します。
メニューにはケーブル (測定モジュール) (9) の A、B または C のどのコネクターを使用するかが 大文字で表示されます。
値の表示方法には合計 3 タイプ (1 つの数字タイプ、および 2 つのグラフィックタイプ) があります。 タイプを選択するには、“値の表示” (H) のアイコンを押します。
測定値は (A) または (C) の文字で表示され、測定に使用されたケーブルと同一になります。 つまり、ケーブル (3) のコネクター (A) を使用した場合、測定値は画面の文字 (A) の値になります。
最大圧力は3bar(公称)でなければなりません。
点検が完了したら診断テスターを取り外し、フューエルタンクにデリバリーホース (5) をクランプで元どおり取り付けます。
取り付け作業は、取り外し作業と逆の手順で行います。
ラムダセンサー(10)をタンクフランジカバーにある専用のキーに配置し、フューエルポンプコネクター(11)をバーチカルヘッド上に配置してタンクを取り付けます。
スクリュー(1)をワッシャー(2)と共に取り付け、10Nm±10%のトルクで締め付け、タンクをフレームに固定します(セクション3-3、フレーム締め付けトルク)。
規定のネジロック剤をスクリュー (4) に塗布します。
スクリュー(4)とワッシャー(3)でタンクをサブフレームに固定します。
5mmの六角レンチでタンク上部のスレッドつきインサート(12)を固定しながら、スクリュー(4)を10Nm ±10%(セクション
3-3、フレーム締め付けトルク)のトルクで締めつけます。
重要
USA バージョンにはスレッド付きインサート(12)は使われていません。
タンクカバーを取り付けます(セクション5-2、タンクフェアリングの取り付け)。
シート底部の先端をタンク上の突起に差し込み、シートの後端部を押してシートを取り付け、カチッと音がしてロックがかかったことを確かめます。
 
イモビライザーシステムの解除手順
参考
作業中に使用されているアイコンのシンボルは、このセクションの最後の一覧表に掲載されています。
 
イモビライザーが正常に機能しない場合は、次のような緊急用の手順に従ってエンジンを始動できます。 セクション6-8、イモビライザーとトランスポンダーに記載されているこの作業は、DDS診断テスターで実施することができるシークレットコードの入力を想定しています。
"テスターの電源"を参照してDDS(1)テスターの電源を入れます。
診断コネクター(H)と電源および診断ケーブル(2)部品番号:97900.0227Sを車両の診断プラグ(3)に接続します。
"Menu 1 ボタン" (A) を押して通常機能のメニューに入ります。
"車両の選択" のアイコンを押し、次の画面で "車両の選択" のアイコンを押します。 モデルを選択して確認し、次にバージョンを選択して確認します。
"システムの選択" のアイコンを押すと、確認する車両のシステムが画面に表示されます。
オプションで "エンジンエレクトロニクス" を選択し、"決定" (B) のアイコンを押して確認します。 次に"自己診断" のアイコンを押して自己診断機能に入ります。
DDS テスターがエンジンコントロールユニットの検査を行い、検査中の各構成部品とそのデータ値を表示します。
参考
車両の操作ディスプレイ上でキーを OFF の位置にし、接続の準備をします。
"始動" (C) のアイコンを押してアクチュエーターおよびコントロールユニットに接続されている部品を表示します。
オプションで "イモビライザーの解除" を選択し、"設定の実行" のアイコン (D) を押します。
5 桁のシークレットコードを入力する画面が表示されます。 赤い矢印 (E) および (F) を使用して各桁の番号を入力します。 1 桁ごとに“決定” (B) のアイコンを押して確認します。
シークレットコードが全て入力されたらば"決定" (B) のアイコンを押して確認します。
操作が実行されると"操作は正しく実行されましたか?" というメッセージが表示されるので、 "決定" (B) のアイコンを押して確認します。
操作が正しく実行されずに問題が発生すると、その内容のエラーメッセージが表示されます。 各メッセージについて"決定" のアイコンを押して確認するか、または"取り消し" (G) のアイコンを押します。
診断テスターを取り外します。
ガイド診断
参考
作業中に使用されているアイコンのシンボルは、このセクションの最後の一覧表に掲載されています。
 
DDS テスターは車両の部品、電子システムの電気図、および部品の位置情報などに関してワンステップずつ異なる診断方法についてオペレーターに従って、記述説明をします。
テスターの電源”を参照してDDS(1)テスターの電源を入れます。
診断コネクター(F)と電源および診断ケーブル(2)部品番号:97900.0227Sを車両の診断プラグ(3)に接続します。
"Menu 1 ボタン" (A) を押して通常機能のメニューに入ります。
"車両の選択" のアイコンを押し、次の画面で "車両の選択" のアイコンを押します。 モデルを選択して確認し、次にバージョンを選択して確認します。
"システムの選択" のアイコンを押すと、確認する車両のシステムが画面に表示されます。
オプションで "エンジンエレクトロニクス" を選択し、"決定" (B) のアイコンを押して確認します。
"コントロール診断" (C) のアイコンを押して"ガイド診断" 機能に入ります。
正しい診断のために実行する操作を示す、一連の画面が表示されます。
システムに異常があるかどうかを知るために、"自己診断" のアイコンを押して自己診断機能に入ることができます。 エラーがある場合は、シンボル (D) が表示されます。 エラーの内容を知るには、"エラー" (E) のアイコンを押します。 エラーが検出された場合には、 "ガイド診断" (C) のアイコンを押してガイド診断を使用し、解決することができます。
DDS テスターがエンジンコントロールユニットの検査を行い、検査中の各構成部品とそのデータ値を表示します。
充電システムの点検
参考
作業中に使用されているアイコンのシンボルは、このセクションの最後の一覧表に掲載されています。
 
"電流計" 機能を選択すると、エンジンがどのような動作状態のときに、 バッテリーの充電およびインジェクション-イグニッションシステムやその他すべての電気部品にジェネレーターが十分な電流を供給するかを確認できます。 電流計ピン(1)部品番号:88765.1126Vをケーブルに取り付けると、ケーブル内の電流によって発生する磁界が測定されます。
シートを取り外します(セクション5-3、シートの取り外し)。
タンクカバーを取り外します(セクション5-2、タンクフェアリングの取り外し)。
フューエルタンクを取り外します(セクション8-2、フューエルタンクの取り外し)。
"テスターの電源"を参照してDDS(2)テスターの電源を入れます。
電源および診断ケーブル(測定モジュール)(3)部品番号:97900.0222をDDSテスター(1)の測定モジュールコネクター(D)に接続します。
電流計ピン(1)を電源および診断ケーブル(測定モジュール)(3)のプラグ(E)に接続します。
警告
クランプメーターは電流の流れているケーブルに接続しないでください。
 
電流計クリップをバッテリーのプラス極ケーブルに取り付けます。このとき、電流計クリップに刻印されている矢印をバッテリーのプラス極(+)に向けてください。
DDS テスター (2) で"測定モジュール" のアイコンを押して 測定モジュール 機能を選択します。 その後 "電流計" (F) のアイコンを押して、続いて "スタート" のアイコンを押します。
メニューにはケーブル (測定モジュール) (3) の A、B または C のどのコネクターを使用するかが 大文字で表示されます。
測定された電流がプラスであれば、ジェネレーターがすべての電気部品に電源を供給し、バッテリーを充電していることを表します。 電流がマイナスであれば、バッテリーは放電中です。つまり、ジェネレーターが負荷に電源を供給できず、かなりの部分をバッテリーから供給する必要があることを表します。
重要
ケーブルに電流計クリップを逆向きに取り付けると、測定値の正負が実際のものとは逆になるので、診断を誤ることになります。
ABS診断
参考
作業中に使用されているアイコンのシンボルは、このセクションの最後の一覧表に掲載されています。
 
ABSシステムが正しく機能しない場合、DDS診断テスターを使用して、システムの診断を行うことができます。
"テスターの電源"を参照してDDS(1)テスターの電源を入れます: 電源(2)部品番号:97900.0230を使用します。
電源ケーブル(3)部品番号:97900.0227をケーブル(2)部品番号:97900.0230およびエンジンフレームのABS診断コネクター(B)に接続します。
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